投稿日:2005-09-24 Sat
昨日の予告どおり、今日は2つの演奏会を聴いてきました。今日一日で10曲少々の曲を聴いたのですが、知ってる曲が3曲しかなかったという失態ぶり。
クラオタ失格ですな(笑)
(1)“現代ラトビアの音楽”
於:東京・武蔵野市民文化会館(ARTE)小ホール
バルト三国のひとつ、ラトビアの現役作曲家たちと、彼らの精神的支柱である女性作曲家ガルータの作品で構成した、ラトビア音楽の演奏会を行います(2公演)。
昼は室内楽の部、夜はオルガンの部。
昼のみ聴いてきました。
(1)室内楽の部 14:00開演
「ラトビアの室内楽~ガルータとサルガを中心に」
サルガ:永遠の対話(Sax,Pf)、人の苦しみの道(Pf)
トゥムシェヴィツァ:翼(Fl) シュミッテ:小さな夢(Fl)
ヴァスクス:鳥たちのいる風景(Fl) ラーツィス:風景(Sax)
ガルータ:祈り(Vn,Pf)、ピアノ三重奏曲(Vn,Vc,Pf)
出演者:安藤史子(フルート) 河西麻希(サクソフォーン)
甲斐万喜子、藤城敬子(以上ピアノ)
野村英利(ヴァイオリン) イム・キョンア(チェロ)
*入場料 室内楽・オルガンいずれも2,000円(全自由席)
(未就学のお子様のご入場はご遠慮下さい)
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行く途中、クルマが超渋滞(>_<)
半分弱しか聴けませんでした・・・。
しかしそれでもラーツィスのアルト・サックス独奏曲の超絶技巧、ガルータのピアノ三重奏曲の美しい旋律など、十分に楽しむことができた演奏会でした。
なんて普通に書いてますが、実はガルータもラーツィスも名前すらこれまで知らなかった作曲家なのです。
でも、こんな良いものがあったなんて!って感じです。
惜しむらくは、お客さん少なすぎ・・・。
実はこの会場、今年の2月に自分が所属するマンドリンオケ“未完成』の演奏会をやった所でもあるんですが、ハッキリ言って、今日の客の入りは“未完成』の半分程度・・・。もったいない。
ラトビアではガルータの合唱曲なんかは、一部の音楽マニアのための音楽じゃないようです。一般人がぞろぞろと休日なんかに教会に集まって、ちょっくら聴いていくか、って感じなんです。
というのも自分はラトビアじゃないけど、同じバルト三国のエストニアでそういう経験をしました。
首都タリンで知り合ったオバサマが「ねえ、あんた、そこの教会で今晩コンサートあるから聴いていかない?」なんて言うので、一緒に行ったんです。そのオバサマはどう見ても音楽マニアじゃない普通の人。そして教会の中はそんな感じの音楽には縁のなさそうな感じの人でいっぱいに埋め尽くされたのですが、フタを開けたら始まった音楽は、エストニアの現代音楽を含む地味なプログラム。
日本でこういう客層相手だと、聴き手のレベルまで降りていこうという演奏者側の過剰な配慮が見られ、ディズニーやらジブリやらを聴かされる羽目になりますよね、きっと。聴き手としても、滅多にない音楽体験の日くらいは奏者が手加減しないホンキのものを聴いた方が幸せになれる気がするんだけどな~。
そんなわけで、ラトビアの音楽を日本の一般人が興味を持つってのは、なかなか動機も何もなく、難しいのかもしれません。
でもいずれにしても、これは客席ガラガラにしとくのは、絶対にもったいない好演でしたよー!
ガルータの音楽というのは、まあ言ってみれば形式的にはごくごく普通のロマン派的なものです。
それにバルト特有の素朴な歌心のある旋律がスパイスとして加わった、そんな音楽。
ただ、その美しさはダテではなく、そして和声の積み重ね方の1つ1つがいちいちカッコいいんです。
会場にあったCD「主よ、あなたの大地は燃えている!」を購入してきたのですが、これなんかは、ヤナーチェクの「グラゴール・ミサ」ばりに格好いい!(グラゴール・ミサを聴いたことがない方は、ぜひぜひこれはCDを購入してください。絶対に損はさせません!オススメはアンチェル指揮チェコフィルの演奏)
ガルータ:カンタータ「主よ、あなたの大地は燃えている!」

西はナチスドイツ、東は共産主義ロシアに挟まれて最悪の圧政下にあったラトヴィア。世界大戦と強制収容所、恐怖と飢餓のただなかで(1944)初演された 「主よ、あなたの大地は燃えている!」は正に音楽的奇跡だった。 デュカス、コルトーらに師事し、スクリャービンに似た作風で知られる女性作曲家ルーツィヤ・ガルータは、本作品の再演を宗教的・民族的要因により ソビエト当局から禁止された。ソ連邦解体前夜からその禁が解け、ラトヴィアを代表する合唱曲として機会あるごとに何度も再演され、大衆に広くかつ深く愛されて いる。このCDは2003年12月にキリスト品川教会での日本初演のライヴ盤。
日本語解説付。
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(2)【東京ツプフアンサンブル(TZE)第7回演奏会】
秋の大森マンドリンコンサート
~ギターコンチェルトとガスパル・サンスの世界~
[日時] 2005年9月23日(金) 18:00開場、18:30開演
9月24日(土) 13:30会場、14:00開演
(同じ演目を2回演奏します)
[入場料] 2500円(全席自由、ワイン等の飲み物付き)
[主催] TZE
[曲目]
ヴィヴァルディ/2つのマンドリンと2つのギターのための協奏曲ハ長調
渡辺力也/2つのギターとツプフオーケストラのための協奏曲『あっけらかん』(委嘱作品初演)
ヴィヴァルディ/ギター協奏曲ニ長調
サンス/ギターソロのための小品
ヴァルター/レフレックス(反映)
ロドリーゴ/ある貴紳のための幻想曲
[指揮] 本多優之
[ギターソロ] ヨハネス・モンノ、村松有二、林黄太、渡辺力也、棟居淳
[マンドリンソロ] 新井宗仁、古谷園子
[東京ツプフアンサンブル]
ドイツ・ケルン在住のマンドリン製作家・内藤やす喜が主宰するマンドリン・アンサンブル。
昨年の第5回演奏会のパンフレットは、下記にあります。
http://www.geocities.jp/pamphlet20041030/TZE.pdf←注)リンク切れ
[ヨハネス・モンノ(Johannes Monno)]
6歳からギターを始める。様々な国際的コンクールで第1位に入賞。
1995年にバロックギターの歴史、楽曲、演奏方法についての本を執筆。
ハンブルク、フランクフルト、シュトゥットガルトの3つの音楽大学の
教授を勤める。ソリストとしてのみでなく、様々な楽器との協演でも
高い評価を受けている。
http://www.johannesmonno.de/
みなさま、9月24日昼の演奏会、まだ間に合います!
特に、マンドリン・クラシックギター関係者はこのコンサート必聴です!こんなに面白い演奏会、そうそうありませんよ!!
とにかく絶対聴きに行くこと!全ての用事に優先させなさい!!これのためなら旅行も仕事もデートも全部キャンセル!!!
「こいつ、この楽団の回し者ちゃうか?」
とか突っ込まれそうですなあ。
ええ、そうですとも。
ワタクシ、関係者に知人多数ですから、そういう意味では回し者です。
でも、自分自身、入場料払って聴いてますし、良くないものをこんなにシャカリキに褒めません。
上手く表現する十分なボキャブラリーが私にはないのが残念ですが、何とか過不足なく伝わるように表現してみるとすれば、
「選曲と奏法の傾向が一致している。コンセプトが明確であり、奏者の粒(レベル)が高次元で揃っており、楽器の音色にも統一感があり、その結果生まれる無垢なまでの様式美にウットリした」
そんな感じでしょうか?
今まで、こうした「ツプフ」系の音楽(ピッキング中心のドイツ系マンドリン曲)って、基本的にセンスはいいし、好きか嫌いかで言えば断然好きではありましたが、ともするとあまりに禁欲的な音楽で、イマイチ感情表現に欠けるという印象でした(その考え方自体がロマン派的音楽史観ですね)。
でもね、美しいんですよ、とにかくもう。
そして楽しい。
ソロコン入賞経験者3~4人にマンドリン製作家までいる1stマンドリン、すごいですねー。
でも全然音には自己主張がなく、極めてクール。アンサンブル全体が音楽に対して頭を垂れて奉仕している、そんな感じ、
特にフリード・ヴァルターっていう作曲家(指揮者でもあったようですが)。
この人についても(ガルータ同様)今日の今日まで全く知らない作曲家でしたが、すごく面白かった!
フリード・ヴァルター(1907年生まれ)
ソロギター、ツプフオーケストラとアド・リビトゥムによる4つの管楽器のためにレフレックセ(反映)-ガスパル・サンスの古いスペイン曲「フォリアス」を主題とする数世紀を超えた変奏曲(1972)
1550ルネッサンス(主題)-1650バロック(第一変奏)-1750ロココ(第二変奏)-1850ファンダンゴ(第三変奏)-1820ビーダーマイヤー(第四変奏)-1890ウィンナワルツ(第五変奏)-1925アメリカのバンジョー(第六変奏)-1965ビート(第七変奏)-1972前衛(第八変奏)
という構成から成る変奏曲。
ファンダンゴはノリノリで盛り上がり、1965のビートでは、意外な音楽が。そして最後に前衛でギターがウェーベルンみたいな音(?)をピコピコやってたのが面白かったです。
音楽史を追いかける変奏曲だなんて身構える必要性まったくナッシング。理屈抜きで面白いです。
あんまり気に入ってしまったので、終演後、このプログラムを組んだ仕掛け人とおぼしき人物に直撃インタビューを敢行。
この選曲の意図やら、ヴァルターの音源の有無・譜面の有無など、あらかた聞いてきました!
早速、譜面を入手したいですね。
明日は「前衛作曲家」ウェーベルン(↑参照)もあるメトロポリタンMOの演奏会
こちらも必聴です!
1年間のマンドリン演奏会でワタクシとしては最重要だと思う2つの演奏会が明日バッティングしております。
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