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タテラッツィ

  • author: タテラッツィ
  • 観たもの触れたもの、マンドリン音楽活動などについて、書いていきます。

    【告知】
    マンドリンオーケストラ“未完成』第11回演奏会
    2011年2月27日(日)浜離宮朝日ホール音楽ホール
    13時30分開場、14時開演
    シューベルト「未完成」、クルト・ヴァイル「小さな三文音楽」ほか。
    入場無料です。

    リベルテマンドリンアンサンブル2枚目のCD発売中!
    マンドリンオーケストラ編曲の最高峰と、新たな世界を切り拓いた委嘱作品を収録。

    指揮:中川賢一(Ken'ichi Nakagawa)
    マンドリン独奏:望月豪(Go Mochizuki)
    演奏:リベルテ マンドリン アンサンブル
       リベルテ マンドリン オーケストラ

    ご購入・お問い合わせはduende-juergaあっとまーくezweb.ne.jpまで!
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    Sのソナタ
    「彼女ができたんだ」

    Sは私に言った。

    あれはたしか今から4年半前、2002年夏の、よく晴れた日の夕方だった。

    あの頃の私たちは、既に20代の後半に突入してはいたものの、「三十路」の文字はかすか遠くに見え隠れする程度で、まだまだ自らの若さに対してそれほど多くの疑念を持たずに生きていたように思う。

    Sと初めて会った時、すぐに「こいつとはうまくやっていけそうだ」と直感した。こういう時、理屈なんてものは、全く何の役にも立ちはしない。ただただ、肌が合いそうかどうか、それだけである。

    ただし、そこには理由らしきものも、ないわけではなかった。

    なぜなら、Sと私とは、その境遇において、あまりにも似過ぎていたのだ。

    それから更に遡ること1年と少し前、2001年の4月に私はSと出会った。

    同じ転職組の同期入社として、そして、同い年として、私は最初からSのことを、「話がわかる奴だ」と思った。そして、どこか世に対し、人に対し、真っ直ぐに向き合えていない感じがSの中にあるような感じがしたことも、当時の私には共感できるものだった。

    それから、一番直近に失恋をした時期とその理由まで同じであったことも。

    もちろん、恋愛の話などをしたのは、知り合ってからだいぶ経ってからのこと。私もそれほどすぐに他人にパーソナルなことを打ち明けられるタイプではないし、まして自分の恋愛の話なんて、何度も2人だけで飲みに行っているような仲間に対してだって、一切合切、口をつぐんでいることもあるのだ。Sとの間でそういう話をするようになったのは、2001年の冬頃だったか。やはり半年以上かかっている。

    2001年、転職活動の末、今の仕事に就いたばかりの頃の私は、全てに対してどこか醒めていて、投げやり気味な気持ちを持っていた。転職とは言っても、いわゆる第2新卒みたいな扱いだったわけで、そのようなフレッシュさに欠ける若者を組織の上位者たちが好む筈もなく、でも逆に言えば、その無鉄砲さが、今の私にはない破壊力を持っていたような気もする。

    そしてそういう心のあり方については、Sも全く私と同様であったのだ。

    しかし、ちょうどこのころ、私は新たな夢を見つけかけていた。

    その夢の名は、「楽器」。

    1997年冬から2000年の夏までの2年半の間、それまであれほど熱心だったマンドロンセロという楽器を一切触らずに過ごしていた。いや、1度か2度、楽器ケースから出してみたことはあった。しかし、ピッキングやトレモロをした時の異物感に、予想していた通りとは言えども、ショックを受け、そのまま5分と経たずに再びケースにしまっていたのだった。

    2000年になると様相は一変した。

    楽器活動など到底できそうにない激務続きだった前職を辞め、転職活動が何とかかんとか奏功して、次の仕事ができる見込みが付いたのが2000年夏。

    実はこの年の春に行われた、後輩たちの大学の定期演奏会を、私は卒業後初めて、聴きに行くことができなかった。転職活動でそれどころではなかったのだ。

    それが私は悔しかった。大学の後輩の演奏活動というものに対して私は、あまり、というよりは全く、目にかけるタイプではない。それは、学生の活動の自治を大切にし、OBは遠くから見守っていようという、学生時分からのポリシーによるものだが、それでもこの時は悔しかった。転職活動などという、明らかに一過性のもののために、自分の青春という名のキャンバスの一部が塗りつぶされてしまったかのような思いだった。

    ちょうどその頃、後輩から、今度マンドリンオーケストラを立ち上げるから参加しないか?という打診をもらった。“未完成』という名前らしい。楽団のネーミングセンスがまるでどこかの劇団のようで変わっているけれど、私が学生時代、一番よく目をかけた後輩が立ち上げるということで、即答でOKをした。この時、2年半のブランクや、あの楽器ケースから出した時の忌まわしい異物感のことは、どうでもよくなっていた。結局、何事も思い切りが大事だということを学んだ。できない理由を探すのではなく、できる理由を探した方が豊かな人生を過ごせる可能性が高いということも学んだ。

    しかし、楽器の道は険しく遠い。

    そもそも、私は自分のことを、(常々書いてきたように)楽器奏者気質ではないと思っている。

    これまで、楽器がうまくなるために練習をしようと思ったことなど、ほとんどない。「ほとんど」というのは、初心者時代、それから、ブランク開け直後は、さすがに「練習して上達したい」と思ったから。
    しかし、それ以外は、「この曲がやりたい。そのために必要な技術はこれこれである。だから、それを○月までにマスターしたい。」という、曲ありきの発想だ。楽器奏者としての欲なんてものは、ほとんど皆無に近い。

    それでも、ターゲットとして捉えた曲を、最終的には煮るでも焼くでも、振るでも分析するでもなく、演奏という形で人様に聴かせることを志向した時点で、やはり私は楽器弾きなのだと思う。実力がなく、あるいは楽器大好き人間特有の性向をまるで有していなかったとしても、やはり楽器を媒介して表現活動を行っているという事実は捻じ曲げようもないのである。

    そして、表現の目的と対象、つまり平たく言えば、「どのジャンルのどんな曲を、どんな編成で、どういうお客さんに聴かせたいのか」、これについての目標を見失いかけていた時期が、最近の私にはあったのだが、それも、もしかすると、明日でおしまいである。

    新たな地平線が今、開けつつある。

    そう感じられるだけの地盤変動がいま、私自身の中で起こっている。

    同時期に今の仕事に就いたSは、4年半の交際の末、結婚した。

    今日はその結婚式2次会に呼ばれたのだった。

    披露宴は海外だったそうなので、事実上、ほとんどの友人たちへの初お披露目会である。

    かつてあれほど「肌が合う」と思っていたSであったが、2002年夏以降は、それほど会うこともなくなっていた。
    Sは彼女が出来、新しい趣味を持つようになり、そして2004年からはSの所属する部署も、それまでの私と同じビルから、別の所へ変わった。
    私も、2001年当時に参加していたマンドリン楽団は“未完成』のみであったが、その後、活動の範囲を急速に広げていったため、自然と、あくまで自然と、Sとの距離は開いていったのだ。

    それでもSは、この2次会に私を呼んでくれた。

    「彼女ができたんだ」

    2002年夏、あの晴れた日の夕方にSが私に言った、その彼女を今日初めて見た。はっきりと自分の意思を持っていそうな、Sとよく似合ってそうな女性だった。

    Sの中で一つの季節が始まり、そして1つのゴールとして終わった瞬間を私は見届けることができた。

    2次会の中で放映された自主制作DVDの中で、2人の馴れ初めや、デートした話、途中で危機を迎えた頃の話など、面白おかしく語られた。

    私にとっては初めて聞く話ばかりだ。

    でも、だからと言って、私にとって、Sが心理的に遠い存在かと言うと、そうは思わない。

    なぜなら、私はそのスタートとゴールを見ている。

    それに、毎日顔を合わせていたって、心の距離が遠かったら、それは何の意味もない。

    だからといって私がSのことをどれほどよく知っているか?と言われたら、たぶん知っているのは、ほんのごく一部だろう。

    しかし、その一部であっても、わかりあえる人というのは貴重だ。だから私にとって、Sはこれまでも、そしてこれからも貴重な友人の1人であり続けることだろう。

    また私は、「楽器」という別の夢に向かって、明日、ある1つの道を見つけることになると思う。
    明日は自分にとって、とても大切な1日。

    とにかく、S、おめでとう!

    PS 今日は実験的に、文体を変えてみました。











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    日記 | 02:17:57| Trackback(0)| Comments(0)
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